不定詞といえば「to 動詞の原形」で表される表現ですね。
今回はこの不定詞の用法をおさらいしていきましょう。
目次
不定詞の基本用法
不定詞の基本用法は大きく分けると、次の3つになります。
- 名詞的用法
- 副詞的用法
- 形容詞的用法
それぞれについて、順に解説していきます。
不定詞の名詞的用法
名詞的用法は、不定詞を名詞のように扱うことを指します。
つまり名詞のように扱うので、主語や、目的語として使うことができます。
1. 不定詞が主語になる例
例えば、「新しい言語を習得します」「これは難しいです。」といった2つの文があったとします。
これを1つにしましょう。すると、次のようになりますね。
新しい言語を習得する + これは簡単ではない。
=新しい言語を習得するのは簡単ではない。
じゃあ、これを英語で表現するにはどうすればいいでしょうか。
新しい言語を習得するは「master new language」、簡単は「easy」なので、「Master new language is easy」でしょうか。
でも、動詞は単に前に持ってきただけでは、主語になれません。
日本語でも「習得する難しい」とは言えず、「習得するのは難しい」と、変換していますよね。
同じように英語でも変換が必要で、この時に不定詞を使って次のように表現します。
To master new language is not easy.
新しい言語を習得するのは簡単ではない。
これで正しい文になりました。
このように「to 動詞の原形」を使うことで、動詞を名詞のように扱い、主語として扱うことができます。
To eat in the classroom is prohibited.
教室で食べることは禁止されています。
不定詞を主語の位置に置く場合は一般論や規則などを述べる場合です。そのため、「サッカー選手になることが僕の夢です。」のように個人的なことを述べる場合は、不定詞ではなく動名詞を使います。
2. 不定詞が目的語になる例
続いて、不定詞が目的語になる例を見てみましょう。
(1) I need to meet my friend tonight.
今晩、友達に会う必要がある。
(2) I decided to quit my job.
仕事を辞めることにした。
(1)の文は「私は必要です」の目的語として「友達に会う」が来ていますね。もし「need meet my friend」としてしまうと「動詞 + 動詞」の形になるので、使えません。
そのため、不定詞を使って「to meet」とし、名詞のように扱うことで、目的語として使うことができます。
(2)も同様に「私は決めました。」の目的語として「仕事を辞める」が来ています。「decide」と「quit」はどちらも動詞なので続けて使うことはできません。
なお、「to 不定詞」は動名詞「動詞のing形」で置き換えることができますが、動詞によっては不定詞の形しか取らないものが存在するので頭の片隅にでも入れておいてください。
不定詞の形しかとれない動詞
decide / hope / wish / want / plan / promise / agree / mean など
不定詞の副詞的用法
副詞的用法は、読んで字の如く不定詞を副詞のように扱うことを指します。
文法用語はちょっと苦手・・・という人は、要は文を付け加えて情報を補足するためのものだと思っておけば大丈夫です。
そして、付け加える内容としては、次の4パターンあります。
- 目的:〜するために
- 原因:〜したので
- 結果:その結果〜
- 判断の根拠:〜するなんて
それぞれ、順に解説していきます。
1. 目的を表す
例えば、次のような文があったとしましょう。
I work hard every day.
私は毎日頑張って働きます。
会社で一生懸命働くことを表す文ですが、どうして一生懸命働くのでしょうか。
家を買うため?車を買うため?彼女と旅行するため?
何かしら目的があって働きますよね。
この目的を付け加えたい場合には不定詞を使って、次のように表現します。
I work hard every day to buy a house.
私は家を買うために毎日頑張って働きます。
I work hard every day to buy a car.
私は車を買うために毎日頑張って働きます。
I work hard every day to travel with my girlfriend.
私は彼女と旅行するために毎日頑張って働きます。
最初の文の後ろに情報として、付け加えられただけですね。
このように足りない情報を補う役割をするのが、不定詞の副詞的用法で、その1つの機能が「目的」を表すことになります。
日本語では「〜するために」と訳しますね。
では、他の機能についても見ていきましょう。
2. 原因:〜したので
「原因」を表す文は、次のようなものです。
I am glad to hear that.
そう言っていただいて嬉しいです。
I am happy to meet you.
お会いできて嬉しいです。
I was surprised to see him.
彼を見て、びっくりした。
I am excited to go to America.
アメリカ行くのが楽しみです。
これらは前の文で「嬉しい」、「びっくりした」などの感情を表していて、どうしてそんな感情になっているのかを続けて不定詞を使って付け加えています。
このようにどうしてそういった感情なのか、原因や理由を説明する時にも不定詞を使います。
3. 結果:その結果〜
「結果」を表す文は、次のようなものです。
He grew up to be a professional musician.
彼は大きくなって、プロのミュージシャンになった。
I graduated from the university, never to see him again.
大学を卒業して彼に会うことは二度となかった。
上記の文は「彼は大きくなる」、「大学を卒業する」、その「結果」として起こった出来事について不定詞で補っています。
上の2つ目の例文のように「結果」を強調するフレーズとして、「never to 動詞の原形」、「only to 動詞の原形」という表現があるので余力がある人は覚えておきましょう。
4. 判断の根拠:〜するなんて
「判断の根拠」を表す文は、次のようなものです。
He must be rich to buy it without looking at the price.
値段を見ないで買うなんて、彼はお金持ちに違いない。
What a fool I was to believe such stories.
そんな話を信じるなんて、僕はなんて馬鹿だったんだ。
最初の文では「彼はお金持ちに違いない」と推測し、その根拠として「値段を見ないで買う」と来ています。
2つ目の文も「僕はなんて馬鹿だったんだ」といった文があり、その根拠として「そんな話を信じる」が来ています。
このように不定詞の副詞的用法では判断の根拠を述べる場合にも使います。
不定詞の形容詞的用法
形容詞的用法は、不定詞が形容詞のように働くので、名詞を詳しく説明する機能があります。
ちょっとわかりにくいという人は「赤いクツ」や「黒い車」といったシンプルな句を考えるとわかりやすいでしょう。
これらは形容詞の「赤い」や「黒い」が「どんなクツ」なのか「どんな車」なのかといった情報を補足して詳しく説明していますね。
同じように不定詞にも名詞の情報を補足して詳しく説明する機能があります。
それでは、具体例を見てみましょう。
(1) I want tools to fix the door.
ドアを修理するための道具が欲しい。
(2) I need someone to teach me English.
誰か英語を教えてくれる人が必要だ。
文(1)では「I want tools」で「私は道具が欲しい」と言っていますが、これだけだと「山登りの道具」なのか「車を修理する道具」なのか、どんな道具かわかりません。
そこで、「tools」という名詞を詳しく説明するために「to fix the door」をつけて、「ドアを修理するための」と詳しく説明しています。
文(2)も同様に前の文で「人が必要である」と言って、どんな人が必要なのか詳しく説明するために「英語を教えてくれる」と補っています。
このように不定詞には名詞を詳しく説明するためにも使うことができます。
ただし、日本語では「〜するための + 名詞」と名詞が後ろに来ますが、英語の場合は必ず「名詞 + 不定詞」の語順になるので注意しましょう。
不定詞の形容詞的用法を使う場合、語順は必ず「名詞 + to 動詞の原形」の順となる。
somethingが来る場合の注意点
「何か飲み物が欲しいです」を不定詞を使って英訳すると、
I want something to drink.
何か飲み物が欲しいです。
となりますが、これに形容詞「冷たい」を入れて「何か冷たい飲み物が欲しいです」を英語で訳すとどうなるでしょうか。
「red car」や「black T-shirt」のように形容詞が先に来るから「cold something」とすると間違いです。
somethingが来る場合は、
I want something cold to drink.
何か冷たい飲み物が欲しいです。
このように、「somthing + 形容詞 + 不定詞」の順になるので注意しましょう。
不定詞を使ったその他の形
1. 意味上の主語「it」+ 不定詞
It is hard for me to travel alone.
一人で旅行するのは無理だよ。
この文では、「私には一人で旅行するのは無理だよ。」と「for me」を使って、不定詞の意味上の主語を示しています。
このように不定詞の意味上の主語を示す必要がある時は、「It is 形容詞 for 人 to 不定詞」という形になります。
簡単に言えば、不定詞の名詞的用法の置き換え版みたいなものです。
名詞的用法では以下のような例文を紹介しましたが、
To master new language is not easy.
新しい言語を習得するのは簡単ではない。
これを「It」を使った構文で置き換えると、
It is not easy to master new language.
新しい言語を習得するのは簡単ではない。
となります。
この文では「for 〜」は省略していますが、これは特定人物を指すわけではなく、誰にでも当てはまる一般的なことを述べているためです。
また、意味上の主語が誰なのか明らかな場合も省略することもできます。
2. 不定詞の否定形
不定詞の否定形は「not to 動詞の原形」で表します。
I set my alarm not to be late tomorrow.
明日、遅刻しないように目覚ましをセットした。
3. wh疑問詞 + 不定詞
「what to eat」や「where to go」などwhで始める疑問詞 + 不定詞はよく使われるので覚えておきましょう。
「何を食べるか」、「どこへ行くか」というように訳します。
I have no idea what to eat for lunch.
昼ご飯、何を食べるべきかわからない。
toが付かない不定詞:原形不定詞
不定詞は基本的に「to 動詞の原形」で表すのが一般的ですが、実はtoを付けないケースもあります。
それが「使役動詞」、「知覚動詞」を使う場合です。
これらについては別の記事にまとめているので、もう少し不定詞について理解を深めたい方は合わせてお読みください。
最後に
今回は不定詞の基本用法について紹介しました。
他にも細かく挙げれば色々とありますが、まずは今回紹介したものが基本となるので、それぞれの働きや使い方をしっかりと頭に入れておきましょう。
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